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A loved one

女性同士の恋愛を取り扱う百合小説サイトです。オリジナル小説で主に年上×年下を取り扱っています。無断掲載・無断転載・複製・配布等は禁止です。以上の事を踏まえた上でのご入場宜しくお願い致します。

第3章 悩むの辞めた④ 




あの時の私は、茜さんが何を言いたいのかが全然わからなかった。

今の私も、茜さんが言いたい事を完全に把握したわけではないが、分かった気がした。




「私はーーー自分に自信を持っても、良いんですか?」








「勘違いじゃ、ないんですか?」




椿さんは、私が思うより弱い。


椿さんは、私が思うより悩んでいる。


椿さんは、私が思うより支えを必要としている。



椿さんが、私を必要としている。



私が、椿さんの支えになっても良いのだろうか。



茜さんはニヤニヤした笑みを消し、安心させるような、茜さんが大人だと感じさせる笑みを浮かべていた。


「じゃ、じゃあ椿さんは私の事す、好きなんでしょうか!?」

「それはどうかな!?」

「嘘やろ!?」

思い切って聞いて、確信を得たかったのに茜さんは私の思い切りを挫く。

さっきまでの大人な雰囲気はどこに行ったの??
突然子供になりすぎじゃない??

「それを含めて、本人に直接聞きな」

茜さんは携帯をいじりながら言う。

ブブッと私の携帯が揺れる。
携帯を開くと茜さんから椿さんの連絡先が送られていた。

顔を上げると、茜さんはニッと効果音がつくのではないかと言う笑顔で私を見ていた。


「自分で動くしかないからね。恋っていうのは」



***


んがーー!
なんて送ろう。
もう洋服借りたのいつの話よ、突然切り出すのもキモくね。

ハァーーーー

肺に入れた煙と一緒に大きなため息。


「おっきいため息ね」


ふと、喫煙所の入り口から聞き覚えのある声が。
その人はやっぱり壁に寄りかかる姿も様になってしまう。

「草川さん!」

そう私が呼んだ人は、喫煙所内に入り煙草の火をつけた。

「なに?もう私の出番?」

そういうとその人、草川さんは私に近づきそっと私の頬を撫でる。


ゾクッ


ぐわっと何かが腹の奥底から湧きあが――

「らないっ!!まだ出番じゃないです!!」

危ない!
この人危ない!
なんか知らないけど貞操の危機が感じられた!

なにゾクッて。いやでもこんな綺麗な人に誘われたら誰でもそうなると思う。

「なぁんだ、つまんない」

そういうと草川さんは大きく煙を吸い込んだ。

「あー、でも違う意味で必要かなー、なんて」

決して変な意味は含まれていない。
ただ、普通に、相談はしたい、だけ。と思いたい。

「なに?お姉さんに話してみて」

頼られたことが嬉しかったのか、綺麗な笑みを浮かべ興味を向ける草川さん。かわいい。

「いやー、なんて言いますか。片思いだと思ってたんですけどワンちゃんあるんじゃね?ってなってるんですけど、どう連絡とればいいのかわからなくて……」

「なにそれ。両片思いってやつかもしれないってこと?」

「まぁ、簡単に言えばそういうことですかね?」

「それなら単に、会いたい、って一言送ればいいじゃない」

なぁるほど!
じゃあさっそく送って―――

「気持ち悪くないそれ!?」

危ない。あと少しで送ってしまうところだった。
草川さんの言うことなら、どんなことでも信用してしまう癖が付き始めているかもしれない。

そんなふざけたことを言った草川さんは、灰皿に灰を落としながら、

「正直な気持ちを言って気持ち悪がられるのは、赤の他人の時だけ」

「知り合い、ましてや両片思いならなおさら正直な気持ちを言われるのは誰でも嬉しいものじゃない?」

貴女もそう思わない?

そういいながら煙を吐く。


確かに。
正直な気持ちを言われるのは悪い気分じゃない。
しかも、甘えられたらなおさら嬉しい。

人の気持ちというのはどんなに親しくても一生分かることはない。
本人でさえ、本当の気持ちに気が付かないことだってある。
実際私もこの気持ちに気が付くのに時間がかかった。

そして実際に椿さんに正直な気持ちを言われているところ……もちろんいい方向に想像したところ、嬉しかった。
……想像の内容は言いませんよ??

「えっでもそれ私のキャラじゃなくないですか?」

その言葉を聞いた草川さんはもう一本の煙草の火をつけようとした、その眉間に皺が寄った。

「キャラ?キャラが何?キャラだから言えない。キャラだから言いたくない。そういうの本当にどうでもいい。そういうのクソほどムカつく」

おおっと。
何か、いや、これはキャラという言葉が草川さんの逆鱗に触れたようだ。とても汚いお言葉を使ってらっしゃる。

「キャラを理由に正直な気持ちを話せない人は一度裸で外を歩けばいい」

これはかなりキャラという言葉は禁句だったようだ。

「そのせいで、その後の関係がこじれてももう手遅れになるよ」

そういうと草川さんは私の返事を聞かずに、半分ほど残っている煙草を灰皿に放り込み喫煙所を出て行った。


ぽつんと一人になった喫煙所。
灰部分がだいぶ長くなった煙草を捨て、新しいのに火をつける。

草川さんがなぜあんなに機嫌が悪くなったのかはわからないが、確かに、キャラを理由に正直な気持ちを話さないのはとてもダサい。
そういうの関係なく思ったことを言ってくれる人は貴重だ。

思ったことを何でも言ってしまう事はまた違ってくるが、今回の場合は正直に言ってもいいことだと思う。


そう思い、ポケットから携帯を取り出し、茜さんから貰った連絡先に一文打つ。



『お久しぶりです。河野楓です。この間お借りした洋服を返したいのでお時間いただけませんか?』



……それでもまだ正直な気持ちを言うにはハードルが高かった。
ちょっとずつでもいいから言える人になりたいとは思う。

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category:  第3章悩むの辞めた

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