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A loved one

女性同士の恋愛を取り扱う百合小説サイトです。オリジナル小説で主に年上×年下を取り扱っています。無断掲載・無断転載・複製・配布等は禁止です。以上の事を踏まえた上でのご入場宜しくお願い致します。

第1章 出会い⑤  

どうせ喫煙所にいればすぐに会えるだろうと、軽く思っていた時期もありました。

「会えない……会いたい……どこ……」

その言葉だけ聞いたらヤンデレか何かに勘違いされそうな言葉を教室の真ん中で呟く。
煙草を吸わなくても授業が終われば喫煙所に顔を出しては草川さんを探す。
そんなことをしてかれこれ5日目。
今日出会わなければ土日をまたぎ日が経ってしまう。
出来るだけ早めに済ませたい私にとって1週間過ぎることが耐えられない。
そもそも1週間以上も前のことを掘り出して話し出すとか無理。そんなコミュ力ない。

「おい、楓」

うだうだ落ち込んでいるところに霞が声を掛けてきた。
返事をすることなく机に伏せたまま手を軽くあげることで対応する。

「おい」

それでも霞は呼びかける。
それでも私は手を上げて対応する。

「草川さん来てっぞ」

ガバッ!!!
さっきまでの意気消沈っぷりは何処へ。
それくらいの勢いで顔を上げ辺りを見渡す。

「入り口」

霞が指を差しながら居場所を言ってくれてサッと視線を向ける。
そこにはさすがと言うべきかクールに壁に寄りかかり片手を上げてる草川さんがいた。
その手を上げる仕草ですら惚れ惚れするような格好よさを兼ね備えている為周りの視線が釘付けだ。
私はパァッ!と顔を輝かせ小走りで草川さんの所へ向かった。

「ど、どうしたんですか!わざわざ来るなんて!」

「……恋人が会いに来ちゃダメなの?」

「っ!!!と、とりあえず場所変えましょ!」

私はもう既に女と付き合っている事は周知の事実な為別に隠す必要はないが周りの視線がキツすぎる。
ついに上級生にも手を出したか!みたいな視線がサクサク刺さってくる。
少し離れたところに連れて行く。
草川さんは黙って付いてきてくれた。

「えっと、本当になんも用事なしに会いに来ただけ、なんですか?」

「そう言ったじゃない」

まさか本当に、ただ会いに来ただけとはどうも信じられず問うが草川さんは否定しない。

「えっと、じゃあ私から話したいことが……」

「へぇ、なに?」

私はこの5日間聞けなかった問いをようやく口にする。

「草川さん、この前言ってましたよね。遊びの出会いはないって」

「言ったね」

「でも、私の告白って面白そうだったからOKしてくれたんですよね?面白そうで付き合う出会いって、遊びじゃないんですか?」

ジッと草川さんの目を見る。
草川さんも、ジッと私の目を見る。
やがて、

「あーー」

と言いながらサラサラの黒髪をかき上げ腰に手を当てた。顔には苦笑の表情。

「やっぱ即興の嘘ってバレるなぁ……」

そう呟くと、ポケットから煙草を取り出そうとして、ここが喫煙所じゃないことに気がつくと顔を顰めたが出しかけた煙草をしまい顎に手を持っていく。

嘘って、遊びの出会いがないってこと、なのかな。
私が、憧れた草川さんは嘘、だったってことになるのかな。

「まぁ、気づかれたものは仕方なし」

草川さんは開き直ったように再び私の目を見て、


「貴女が心配だったから、ね」


………………ん?

「え?」

「面白そうだったからっていうのは嘘。貴女が女殺しと呼ばれる程色んな人と付き合ってた事、知ってたから」

え?

「女殺しって呼ばれてる人がどんな人なのか興味もあって1ミリたりとも面白そうなんて思ってないって言ったら嘘になるけど」

ちょ、ちょっと、

「女殺し、そう呼ばせざるを得ない状況を作り出すほど貴女の過去に何かがあったんじゃないかって」

まって、まってよ。

「あたしが傍にいて貴女の心が晴れるんなら、あたしは彼女でもなんでもやるわ」

なに、なんなの。

「あたし、貴女みたいな人———」

「ちょちょちょ!ちょっと待ってよ!?」

突然の私のストップに草川さんは驚いたように目を見開くが、自然と優しく笑うと、


「あたし、貴女みたいな人、見過ごせないの」


「だから待ってって言ったじゃん!」

あーー、と私はその場にしゃがみ込み手で耳を覆う。
熱い。
絶対赤いやつだコレ。
なんだそれなんだそれなんだそれ!
やーばい。
なにこの人格好いい。
多分これお節介ってやつなんだろうけど、お節介の度を超えてるよね?
なにこの人、知り合い全員にこんな事してるのかな。

スッと目の前の足は折り曲がり急に至近距離で草川さんの顔が現れた。

「どう?あたしが告白OKした理由、分かった?」

そんな至近距離で言葉を発することなんかできなくて、コクコクと何度も頷くしか出来なかった。
タイミングを計ったかのように学校全体にチャイムが鳴り響く。

「じゃあ、またね」

「あ!あの!」

あっさりと立ち去ろうとする草川さんの手を掴み引き止める。

「なに?」

「連絡先、教えて下さい」

「あ、そういえば教えてなかったわね。ほい」

携帯をポケットから出していじる。
草川さんの連絡先が私の携帯に登録される。

「じゃ、連絡頂戴ねー。それと早く教室戻らないと先生来ちゃうわよー」

「う?あ!」

その言葉でもう既にチャイムから5分が経過してることに気がつき立ち去る草川さんに挨拶をして、走って教室へ戻った。



***



『河野 楓です。今日の放課後空いてますか?』

授業中にもかかわらず私は先ほどもらったばかりの草川さんにナインを送信する。

私は決めた。
草川さんに、椿さんのことを話すのを。
会ったばかりの私にあれ程優しく、心配してくれた人に隠し事をする事に罪悪感がある。

ブブッ

「うわっ……」

いきなりのバイブで軽く驚く。
画面を覗くとそこには今しがた登録したばかりの草川さんからだった。

「はや……」

そう呟きながらもナインを開く。

『空いてるよ。デート?』

……普通こういうのは最後に(笑)とか付けない?
いやまぁ草川さんなら真顔で聞きそうだけどさ。

『デートって言うほどトキメキのある事はしませんが空いてるなら時間下さい。この講義で今日は終わりなんですが草川さんは?』

『あたしも同じよ。じゃあ授業後外の喫煙所で』

『了解です。ありがとうございます』

さて……この講義は……聞かなくても大丈夫だからお絵かきでもしてますか。
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category:  第1章出会い

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