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A loved one

女性同士の恋愛を取り扱う百合小説サイトです。オリジナル小説で主に年上×年下を取り扱っています。無断掲載・無断転載・複製・配布等は禁止です。以上の事を踏まえた上でのご入場宜しくお願い致します。

第1章 出会い③  


その女性は草川 瑞樹と名乗った。

恥ずかしいことにあんな挑発的なことを真正面から言われた所為で上手く言葉を発することができなくなって、
それに気が付いた草川さんが「大丈夫?」と声をかけた瞬間、「よろしくお願いしますっ!!!!」っと顔を真っ赤にして叫びながら走って逃げた。

そう、逃げたのだ。

その時点では当然名前も学年も知らない。
え?本当に付き合うの?って思うくらい少ないやりとりしかしていない。
多分あれはあの女性の冗談だったんだな、と自分を納得させその日はそのまま帰宅した。

でも、再会は思いの外早かった。

それは翌日。
空きコマで煙草を吸っていると、喫煙所に誰かが入って来た。
携帯をいじりながらスペースを譲ろうとサッと離れようとすると、不意に咥えようとした煙草が綺麗な細長い指にスッと取られた。
呆然とその指をたどると、そこには昨日の女性がいた。
その女性は私の吸っていた煙草を吸う。
……別に今更間接キスとか気にするような年じゃないけど、それを見て耳が熱くなる。

「何、メンソールなの?お子様」

そう言いながら女性は私の煙草を吸い尽くし灰皿に入れた。
私の半分くらいじゃ足りなかったのかポケットから煙草を取り出して火をつけ煙を吐き出す。

「え、えと、」
「草川瑞樹」
「……え?」
「あたしの名前。貴女は?」
「あ、えと、河野楓です」
「そ、じゃあ改めて、"よろしく"」


……へ?
よろしく?
……え、まさか、
え?
本当に付き合っちゃうの?


「えぇ!?あ、あの今更ですけど私女ですよ!?」
「知ってる。そんな可愛らしい顔つきの男はいないから」
「ぁ、ぅ……え、本当に付き合うんですか?」
「貴女が言ったんでしょ?まさかあたしに対してあんな冗談言ったわけ?」
「っまさか!本心ですよ!」
「なら問題無いじゃない」
「~~~っ、よろしく、お願いします……」

私は昨日会ったばかりの女性と付き合うことになりました。

予想外の展開に頭がついていかず、呆然と草川さんの煙草を吸う姿を見ていると、

「何?」

と横目で見てくる。
そのキリッとした目付きで見られるとつい、背筋を正さずにはいられない。

「あ、いや、何年生なのかなーって」

こんな堂々とした立ち振る舞いなんだから年上かなとは想像してつい敬語で話しているが、逆にこんな大人っぽい人が学生という職業についていることが信じられない。
普通に社会人やって行けるぞこれ。

「3年」
「さっ!?3年ですか!?」
「何、もっと年上に見えた?最低」

草川さんは私の思ってたことを当てるや否やズバッと一言で私の心を斬りつける。

「すみません……えっと……じゃあ、なんであんな唐突な告白をOKしたんですか?」
「面白そうだったから」
「ですよねー」

なんだろう。この煙草1本吸う位短い時間で草川さんがどんな人なのか大体わかってしまった。
この人、すっごくサバサバしてる。
そのサバサバで人が切れそうなくらいサバサバしてる。
実際私の心は切られた。

この人、無関心なことには多分見向きもしないと思う。
だからこんなに綺麗なのに彼氏もいない……あれ?

この人本当に彼氏いないのか?
私とはもう半分遊びじゃんね。
彼氏との片手間、くらいの付き合いじゃんね。
彼氏いてもおかしくないじゃんね。

「草川さんって、彼氏いるんですか?」

その言葉に草川さんはピタリと煙草の手を止め、ゆっくりと私を見る。
その目は、信じられないものでも見るかのような目で。

「あんた、バカなの?」
「えぇ!?なんでですか!?」
「その質問が思いつくってことはあたしが何股もかけるような軽い女に見えた訳ね。最低」
「いや!そんなことっ!え、だって草川さん綺麗だし!彼氏いそうだし!私とは遊びのようなもん……」

ドンッ!と狭い喫煙所に反響したのは草川さんが壁を叩いた音。

私は顔の横ギリギリに通り過ぎた手を冷や汗をかきながら横目に見る。
そう、私は壁ドンされた訳だ。
ジュッと煙草の火が消える音がしたと思ったら、壁ドン。

草川さんはタダでさえ壁ドンで近くなったのに一歩近づく。
さっきまで草川さんが吸っていた煙草の匂いがする。
草川さんは私を押さえつけるかのように上から覗くように見る。

「ねぇ」

タダでさえ低いアルト声をより低くした声が上から降ってくる。

「貴女が思うあたしってどんなあたし?遊びで何人もの人と付き合って捨てる女だと思ってるわけ?」

至近距離の草川さんの目は真剣で、言ってはいけないことを言ってしまったのだと気が付いた。

「あたしは、どんな出会いでも一つ一つの出会いを大切にしてるの。貴女との出会いだって大切にしてる」

「それを貴女は遊びだって言った?ふざけないで。遊びの出会いなんてあたしには無い」

そう、言うと草川さんは壁から手を離し私から少し離れる。


私は、自分が恥ずかしかった。


自分で、この人との出会いは遊びだと決めつけ、それを相手も同じだと思い込み、押し付けた。
あぁ、この人にフラれるのが惜しい。


抱いてしまった。

この人に対して。

恋愛感情

———では無いが

尊敬という感情を抱いてしまった。
この人と一緒にいたいと、思ってしまった。

でも、それはもう手遅れで。
私のさきほどの発言で、草川さんは私を見限るだろう。

あぁ、何てことをしてしまったのだ。

ポンと、不意に私の頭に何かが触れる。
それは、草川さんの手で、
草川さんの顔には、幼い子供を叱った後の母のような優しさがあって、



「あたしに釣り合う女になるんでしょ?」



そう言い、不器用にニコッと笑う草川さんがいて、

「なら、さっきみたいな考えは捨てて」

そう言うと、もう一度ポンと頭を軽く叩くと喫煙所から出て行った。
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category:  第1章出会い

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