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A loved one

女性同士の恋愛を取り扱う百合小説サイトです。オリジナル小説で主に年上×年下を取り扱っています。無断掲載・無断転載・複製・配布等は禁止です。以上の事を踏まえた上でのご入場宜しくお願い致します。

第1章 出会い② 


高野 綾香

綾香は、何を血迷ったのか別れて1ヶ月くらい経った頃、

「私も楓と同じ大学行く」

と言い出した。
別にそれほど頭のいい大学では無いから行けなくは無いが、私は当然止めた。

「いやいや、楓と綾香じゃやりたい事が違うでしょ」
「いいの!行くの!」

それでも綾香は頑なに首を縦に振らなかった。
私も別に綾香の進路がどうだろうと関係無いから必死こいて説得する事もなく、綾香を応援した。
一般で受けた綾香は学科は違うが無事、同じ大学に入る事ができた。

ちなみに月に一度は必ずあいつと会っている。

柏原 優輝

唯一、私が親友と呼べる奴だ。
優輝は悔しい事に頭が良いため、国立の大学に余裕で受かり進路は別々となった。

優輝と綾香、この2人は今の私の現状を知っている。
あの人と別れた事も、大学では見境なく女の子と付き合い別れている事も。
綾香にあの人の事を言ったら、

「じゃあ私と付き合ってよ」

とか言い出すのかと思ったら、まぁ、案の定言ったは言ったがその後に、

「なぁんて、冗談だよ。知ってるもん私。楓はあの人の事がまだ好きで、あの人じゃないとダメ、なんでしょ?」

私はその言葉に何も言えなかった。
綾香に、私の事を好きでいてくれる子にそんな事を言わせてしまった自分が恥ずかしかった。
失恋は人を成長させるとはよく言ったものだ。私は全然成長してないけど。

大学で色んな人と付き合ってる私に対して何も言わず、ただ会うたびに好き、付き合って、とネタのように言って私の心にゆとりを持たせる。


綾香の好きには本物の気持ちが詰まってるから。


言い方で勘違いしそうだが、まだ綾香は私の事を好きでいてくれている。

いつでも私が逃げられるように。
様々な気持ちから逃れられるように。
綾香は私を甘えさせてくれる。

そんな綾香に同じように会うたびに好き、付き合ってと言う藤堂 霞。

霞は、

綾香の事が好きだ

殆どの時間、女の子を周りに連れ回している霞の唯一の本命。
私と一緒にいた綾香を見て一目惚れをしたそうだ。
会った瞬間に、「俺の彼女になりませんか?」と言ったくらいだ。
それを言われた綾香は一瞬固まっていたが丁重にお断りした。
それでも霞はめげずに綾香に会う度に告白をしてはフられるを繰り返し綾香と親しくなった。
今ではもう告白も挨拶のようになってしまって綾香は霞の気持ちに気がついていないかもしれない。

とまぁ、そんな感じで私は大学生活を半年送った。
変わったことといえば、私の身長と隣にいてくれる人、そして、私の恋愛事情だ。



***



「じゃあ私授業だからじゃーね!」

そう言いながら綾香は講義棟へと走り去っていった。
大きく手を振りながら見送る霞。
その顔は満面の笑みでいかにも、幸せ!って感じのオーラを撒き散らしてる。
霞はその雰囲気を纏ったまま私に向き直ると、

「で?」
「……は?」
「いつになったら楓の恋愛事情聞かせてくれるんだ?」

……こいつは、いつも……唐突すぎるだろ……。
一体どの話を聞いてその話題を振ったんだよ。

「俺、結構待ったぜ?」

いつの間にか、霞の顔から笑みは消え寂しさを含ませた様な真面目な顔になっていた。

私は一つ、深呼吸をして、

「取り敢えず一本吸わせて?」

そう言い、ポケットから"煙草"を取り出して喫煙所へと入る。
煙草は、あの日、あの人と別れた日家に帰ったらやけにむしゃくしゃして何を思ったのか父の煙草を拝借して吸ってしまった。
それからイライラしたりすると吸いたくなって吸っていたら見事ニコチン中毒になった。

カチリとライターをつけ煙草に火をつける。
軽く煙を吸って吐き出す。

「話すと長くなるけどいい?」

喫煙所の壁に凭れながら霞に問う。
霞は何も言わず、目で促してくる。
もう一度煙草を口に咥え今度は深く吸い、吐き出す、言葉を乗せて。



「———とまぁ、こんな感じですわ」

ジュッと煙草の火が灰皿の水で消える音でその話を締めくくった。
霞は私が話してる時一言も話さず黙って聞いていた。じっと私の顔を見ながら。

霞の沈黙はまだ続く。
まだ続く。
まだ。
まだ。
ま、

「なんか言えよ」

沈黙に耐えきれず私から口を開く。
しかもイケメンにじっと見つめられると恥ずかしい。
霞は一つ息を吐くと、

「俺には重すぎる相談だわ」

そう言うとニカッと笑った。

「無責任!?」
「取り敢えず、俺も会いたい。楓が惚れた女」

さっきまでの真面目な雰囲気は何処へ行ったのか、霞はいやらしい笑みを浮かべながら喫煙所から出て行く。
あとを追う様に私もついて行く。

「紹介はしないから勝手に会ってろよ……」

こんな奴にいい返事が聞けるとは思ってなかったが、霞に話して少しはスッキリした。
スッと私の横を通って喫煙所に入っていった人が1人。
その瞬間、ふわっと嗅いだことのある匂いが私の鼻を刺激した。


その匂いは、
あの人の匂いで




「椿さん?」




椿さんがここにいない、なんて分かりきったことなのに呼ばずにはいられなかった。

今出たばかりの喫煙所へ駆け込むと、そこにいたのは———


煙草に火をつける格好で怪訝そうにこちらを見る見知らぬ人だった。


でも、その人は肩甲骨辺りまで伸ばした黒髪ロングストレートで、霞より少し背が高めでキリッとした目付きで、
どこか、
椿さんに似ていた。

その所為か。

それとも愛に飢えていたのか。



「私と付き合ってくれませんか?」



私の口はふざけたことを口走った。

「……は?」

告白をされた女性は煙草に火をつけることすら忘れて呆然と私を見る。
そして、ふと我に返り辺りを見渡し、誰もいないことを確認してまた私を見る。

「あたし?」

女性は綺麗なアルト声で自分を指差し確認を取る。
その声と仕草で我に返る。

「あ……す、すみません!いきなり失礼なこと言ってしまって!忘れて下さい!すみません!」

ペコペコと頭を下げて、顔を赤くしながら再び喫煙所を出る、が


「待ちなさい」


綺麗なアルト声で呼び止められる。
気持ち悪い、初対面にそれは失礼、など罵詈雑言を浴びせられるのかと思い恐る恐る振り返ると、いつの間に移動したのか目の前にその女性が立っていた。
身長差、約5センチほどだがすぐ目の前に立たれると見上げなければ目線が合わない。
だが、私が顔を上げる必要はなかった。

なぜなら———

女性が私の顎を持ち上げて目線をあわせたからだ。

火のついた煙草を咥えた口元をニヤリと上げ、



「付き合うなら、あたしに釣り合う女になりなさい?」



そう挑発的に言った。


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