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A loved one

女性同士の恋愛を取り扱う百合小説サイトです。オリジナル小説で主に年上×年下を取り扱っています。無断掲載・無断転載・複製・配布等は禁止です。以上の事を踏まえた上でのご入場宜しくお願い致します。

第1章 出会い① 

こんにちは、颯です。

新章です!まだ!終わりません!

あんな終わり方、颯が許しません!

楓が大学生になったその後から始まります。

だらだらと続きますが、それでも読んで下さる読者様、ありがとうございます!

引き続き、あらぶどを見守っていてくれたらと思います!


*****


多くの車が行き交う大通りの一角に、小さな小洒落たカフェがあった。
時間帯の所為か、客足がまばらなその店は若い女性が大半を占めていた。

そのキラキラとした雰囲気の中、窓際に座る2人組みの雰囲気は真逆。



その2人はお互い何も話さず俯いていた。

やがて1人の、黒髪の彼女がポツリと、


「どうして……?」


その声は、今にも泣き出しそうなほど震えた声だった。
その声に対面に座る人は、低い聞き取りづらい声で、



「ごめん、そういうの無理なんだ」



その言葉に黒髪の彼女は瞳を見開き目尻に涙を溜める。


「どう、して?」


再び同じ質問。

見開いた瞳にはじわりと、怒気が混じる。
対面の人は俯いている所為で、それに気がつかない。


対面の人は一度ギュと歯を食いしばり、


「ごめん」


謝罪を口にした。

その瞬間黒髪の彼女の目尻の涙が———落ちた。


と同時に、




「ごめん、じゃ、なくてっ!理由を!話してよ!」




黒髪の彼女は長い綺麗な髪を掻き乱し叫んだ。
黒髪の彼女の大声に周りの目線が集まる。

そんな目線に気にする素振りなど見せず、ただ、対面のその人を見つめる。


その瞳には、まだこの人を信じたいという希望があって、





でも———







「ごめん」



その希望には答えられなくて、同じ言葉を口にする。

サラッとボーイッシュに切り揃えられた髪がより俯向くのと同時に揺れる。



微かな希望を打ち砕かれた黒髪の彼女は———




「っ!!!!信じらんない!!最低!!」


その瞬間、パァン!と小気味いい音が店内に鳴り響く。
周りの客の息を呑む音が聞こえる。

黒髪の彼女は鞄を手に持つと小走りに、止まらない涙を拭いながら店を出て行った。



ヒソヒソと、他の客が話している中、取り残された対面の———"彼女"の頬には薄っすらと浮かび上がる手形と、一筋の涙。









「———ごめん、なさい」


ポツリとつぶやかれた4度目の謝罪は、誰の耳にも入らなかった。



***



「楓ーー!!」


後ろから活発な声で私を呼ぶ声がした。


随分と遠くからの声な気がして、振り返ると、
やはり、遠くから大振りに手を振り近づいて来る人影が見えた。


そいつは私の隣に並ぶと息一つ切らさず爽やかに歩き出す。


「で、またフったんだってー?」

そいつ——藤堂 霞(とうどう かすみ)は整った顔で口角を上げ唐突に問いかけた。

一体どこからそんな情報を手に入れるんだか。


「違う。フラれたんだ」

「またまたぁ!どーせ『キスができないー』とか言ってフったんだろー」

「違う。そんな意味の言葉は言ったが、そしたら相手が『最低』と言いフラれたんだ」


断固として譲らない私を見て、へいへい、と眉を下げつまらなそうにする。

「てか、何人目だよ。それで"フラれ別れた"の。同学年で結構噂になってんぞ」


『河野楓は女殺し』

そう言われているのを噂で私も聞いたことはある。
てか、女殺しとかすごい厨二的な名前だよな……


その噂が立つ理由は簡単。

霞が言うように私は何人にもフラれ、別れた。
それはつまり、何人とも付き合っていた。


女殺しと言う異名は何人もの"女性"と付き合い、別れたという実績がありついた名だ。

しかしそれだけではない。

何人もの女性と付き合っては別れる、でも一人一人を本当に愛していたのならそんな異名はつかない。
つくなら女たらしだ。


『女殺し』


私はその数々の女性達の事を、




———誰1人として愛していなかった。


「仕方ないだろ、出来ないんだよ」

「出来ないなら付き合わなきゃいいのによー」


分かってる。


分かってるよそんな事。


人を傷つける事が嫌いなくせに、未来のない告白を受け入れ何人もの人を傷付けた。




でも、

それは、

いつか、





あの人を忘れさせてくれる人が現れてくれるんじゃないかって淡い期待を抱き続けている結果。



私が唯一、心の底から愛した人———













楠見椿を私の中から消し去ってくれる人を、私は待っている。


あの人は私の幸せそのもので、あの人さえいれば良かったのに、

その幸せは突然消えた。

あの人は、あの人の幸せを見つけて、私を遠ざけた。
私は絶望に浸る間もなくすぐ大学に上がり———彼女が出来た。

入学と同時に髪を切った所為かより一層男っぽくなり、男子は遠ざかり女子が近付いた。


初めて告白された時、当たり前のように断ろうと思った。

私はあの人が好きだから。

でも、あの人はもうすでに別の幸せを掴んでいて、私には到底手の届かないところに行ってしまった事を思い出して、

思わず頷いてしまった。


頷いてから、決心した。
この子を好きになろう、と。


でも、いざその時になると———出来なかった。

頭の中があの人でいっぱいになって、手が動かなくなる。


手をつなぐ事も。

抱きしめる事も。

キスをする事も。

その先も。




私には出来ないと、分かってしまった。

だから、付き合ったとしてもいざその場面になったら問い詰められ、出来ないと言えば、フラれる。その繰り返し。


今では我慢すれば手を繋ぐことは出来る。
でも、まだその先は出来ない。


だから、いつか私がその先もしたいと、思えるような子が現れるんじゃないかって期待して、こんな事を繰り返す。

「うるせぇ。お前こそ女の子たぶらかして遊んでんじゃねーか」

「いいんですー、俺は本命がいるからいいんですー」

「尚更」

霞はイケメンだ。女子なのに。
鼻筋はスッと高く、くっきり二重の170センチ以上の長身。サラッとしたベリーショートの茶髪。一人称俺。
モテないわけがない。
学内を歩いていればあちらこちらから声を掛けられる。

かくいう私も大学に入り遅い成長期が来た。
霞より少し小さめだが男っぽさが増したのは確かだ。


「かーーえーーでっ!!」

ドスッと後ろから衝撃と共に首に腕が回る。

「好き!付き合って!」

「嫌だ」

これは霞ではない。
霞は私の横にいる。
では誰か。
出会い頭に後ろから軽いノリで告白してくる奴とは。
その告白も何回目か分からない。


その新たな声に霞は途端に嬉しそうに顔を綻ばせる。

「綾香じゃーん!好き!俺と付き合って!」

「い!や!」

同じような会話をして盛り上がる。

「綾香、首、手離して」

ぽんぽんと手を叩くとスルリと首から手が引いていく。
そして、ひょこっと後ろから顔を覗かせてくる。

高校の時から変わらないパッツン前髪のマッシュ頭。くりっとした目はこの世の全てが楽しいと思わせる。




そう。






高野綾香



高校の時、私が彼女として初めて付き合った人だ。


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