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A loved one

女性同士の恋愛を取り扱う百合小説サイトです。オリジナル小説で主に年上×年下を取り扱っています。無断掲載・無断転載・複製・配布等は禁止です。以上の事を踏まえた上でのご入場宜しくお願い致します。

第18章 束の間の幸せ② 

世間はバレンタインやぞ!!
何をやってるんだお前らは!!



*****


「私たち、別れよっか」


















え?








いま、なんて、いった?



カサリと、手から落ちたアロマキャンドルの広告の音が、何も聞こえない部屋に大きく響く。









わかれ、よっか、?





「ーーーぇ」


のうないで、さきほどの、ことばをくりかえし、やっとでたのは、ことばでもなく、ただのおと。



しこうが、ていしして、なにもかんがえられない。







むいしきに、ゴクリとつばをのみ、そのおとが、ちょうかくを、きどうさせる。


チッ、チッ、チッと、とけいのおとが、きこえはじめる。


おとが、きこえると、だんだんとあたまの、せい理が追いつく。






『私たち、別れよっか』






椿さんの声で、先ほどの言葉がリピートされる。








やっと、言葉が出る。



「なんで、ですか?」



それは呟くような言葉で、キッチンにいる椿さんには届かない。


それでも、聞こえたかのような感じで、椿さんは、
















「結婚したい人ができたの」


その瞬間に、病院での会話がフラッシュバックする。









『結婚も、できません』


『結婚願望はないの』








あぁ、そういうことか。



結婚願望がないから私と付き合い、結婚願望が芽生えたら、私と別れればいいのか。

私とは、結婚願望が芽生えるまでの暇つぶしだったのだ。










「だから、別れよ?」































その言葉を、
























ーーー聞かなければよかった。


だって、




その言葉で、




その声で、



















ーーー希望を持ってしまったから。


















ーーー涙ぐむような声なんて、聞かなければよかった。



堪らずキッチンへと駆込む。

台所に寄りかかりコーヒーを両手で持ち、俯向く椿さんの顔は見れない。







でも、さっきの声に聞き間違いはないからーーー








「嫌です」








私は、我儘が言えた。



「何で、そんな泣きそうな声で言うんですか」




「何で、結婚したい人ができたのにそんな嬉しそうじゃないんですか」




「何で……何で、今までその苦しみを黙ってたんですかっ!」


こんな状況でも、椿さんのその不器用さが愛おしい。


でも、苦しそうな椿さんを見て、気が付かなかった私に腹が立ち、歯を食いしばり、爪が食い込むくらい手を握り締める。




椿さんも歯をくいしばるのが見えた。











「ごめんね」



俯いていた顔を上げ、私を見る。


女神のような最高の笑みで、目尻から一筋の涙を流す椿さん。




その姿に、一瞬見惚れ、気がつく。




















ーーーもう、椿さんの中では決まっていること、だと。




私が、何を言っても、この話の終わりは決まっていた。










ーーー最初から。











ーーーこの家に来た瞬間から。












「っ……わ、かりました」











歯を食いしばり、震える声を抑えるよう手を握りしめる。



まばたきをしてはいけない。

目頭が、熱くなる。






最後に、1秒でも長く、椿さんを見つめーーー





















ーーー顔を逸らした。




そのまま無言でリビングに置いてある、リュックを手に取り玄関へと向かう。
途中の、キッチンの前で立ち止まり、椿さんの顔は見ずに、


「お邪魔しました」


そう言い、玄関を出た。












ーーーガチャン



と、無慈悲な音が私の短い恋に幕を閉じた。



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category:  第18章束の間の幸せ

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