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A loved one

女性同士の恋愛を取り扱う百合小説サイトです。オリジナル小説で主に年上×年下を取り扱っています。無断掲載・無断転載・複製・配布等は禁止です。以上の事を踏まえた上でのご入場宜しくお願い致します。

第16章 鈴の音④ 



「ってことで私は綾香と別れました」



次の日、朝一番に優輝に事の顛末を語る。



前も同じような感じだったのを思い出す。

あの時は優輝に殴られたな……


あれ、なんか今思うとムカついてきた。
あ、楓も優輝殴りたい。


「って事で1発殴っていい?」

「はぁ!?!?意味わかんねぇ!なぜそうなる!?」


キャラ変わった……?


「なんか、前殴られたのムカついてきたから」

「それは君の行いが最悪だったからだよ!」


感情が高ぶると優輝のキャラは変わるようだ。


「なに。殴られるの怖いの?」


こんな挑発に優輝君は引っかからなーー


「はぁ!?別に怖いとかじゃないし!」

「じゃあ1発くらい、ね」

「わ、分かった。1発な」


挑発に引っかかったーー!!


まさか本当に引っかかってくれるとは……では、遠慮なく。



ぐっと力を入れる。

それと同時に優輝は力強く目を閉じた。





大きく振りかぶりーーー














とすっ







大きく振りかぶった拳は優輝の頬を通過し首の後ろに回る。

同じように反対の手も首の後ろに回し、ギュッと力を入れる。









……まぁいわゆる、ハグだ。





















「ありがとう」












耳元でボソッと感謝の意を伝える。




















「楓のために感情的になってくれて」











私は、人を信じられなかった。

私は、自分に自信がなかった。

私は、私の為に何かをしてくれる友達なんていないと思ってた。







ポンポン、と頭を叩かれる。

















「親友なんだ、当たり前じゃないか」















ずっと欲しかった。



親友という存在。



それは、自分から手に入れる物ではなく



自然と、手に入る物だと、気が付いた。




そしてーーー今更になって恥ずかしくなる。
















この体勢が。






ぎゅううううっと腕に力を込め首を絞める。


「痛い痛い!死ぬ!苦しい!」


「ははっ」


不意に、笑い声が漏れる。
優輝から体を離し腹を抱える。

「くくっはっはははは!」

1人でに笑い出した私を見て優輝は、

「なんだこいつ」

と、冷めた目で見つめてきた。




やっと笑いが収まった頃に予鈴が鳴る。


「はぁー、ごめんごめん。教室戻ろう」





1人だった教室への道を



今度は、2人一緒に歩き出した。



***



手術は成功した。


その事は手術の次の日に椿さんからの連絡で知っていた。



しかし、私は気が付いた。








「また今度って……いつだ?」






そう、返事を聞くための次会う約束をしていない。

病院に行って良いのだろうか。


いや、それだと返事を催促してるようでなんか嫌だ。
いやでも返事を聞きたいのは本心だし……






「うわぁ……」













ピロリン












ビクッ


項垂れていたところに唐突に携帯が鳴る。

ディスプレイを覗くとそこには、













「椿さん!!??」










ガッと携帯を掴み開く。




『明日、病院来れるかな?』




素早く画面をフリックして返信する。


『勿論です!病室は変わってないですか?』


送るとすぐに返信が返ってくる。


『うん、変わって無いよ。』








明日、椿さんに会うことになった。



***



何回目だろうか。

この扉の前に立つのは。

何回来ても、この心臓の高鳴りは止まない。



深く、深呼吸してから、ゆっくりと手を上げる。





ノックしようとする手が、今になって小刻みに震えていた。






















怖い。














この前の雰囲気では希望があるのはわかっている。




それでも、




他人の本心は一生分からない。




本音だよ、の言葉は本物なのか。




考え出したらキリがないことくらい分かっている。




















私は、もう一度深呼吸してから、ノックした。



コンコン、ガララ



「失礼します」







椿さんは、



いつも通り、



そこに居た。







「おはよう、楓」




初めて会った時の笑顔を浮かべながら。



「……っ」



その笑顔のせいで、おはようございますの返事が出来なくて、



「今日は田中さんと佐藤さんいないんですね」



なんて、

同室の気のいいおばさんたちの話を振るしかなかった。



しかし、そんな返事でも椿さんは笑顔で答えてくれる。


「大事な話があるからって、ちょっとお散歩に行ってもらったの。……座って?」



……大事な話。



そのフレーズに、ドキドキと不安が入り混じった感情が心を埋め尽くす。





私が席に着くと、椿さんは鈴の音を響かせる。














「私ね、そんなに楓が苦しんでいたの、知らなかったの」












この前と同じ音が私の脳を刺激する。











「私ね、私が楓を苦しめてる元凶だって、知らなかったの」




















「ーーーー」














先の言葉がーーー出ない。








待っても、次の言葉が出る気配は無い。

椿さんも言おうとは、している。




ただ、音が、鳴らない。





「ーーーっ!」




椿さんはさっきまでの落ち着いた表情をなくして顔を赤くして、焦りを浮かばせていた。








そんな椿さんを見て、


私はそっと布団の上に置いてあった椿さんの手に、両手を重ねてーーー




















「私は、椿さんの事好きです」












二度目の告白。






一生懸命返事をしようとしている椿さんを見て、私の覚悟も決まった。





















振られても構わない。








こんなにも一生懸命に返事をしてくれる人を好きになって良かった。











私の二度目の告白を聞いて、椿さんも覚悟を決めたようだ。

私の重ねた手を、祈るように包み込む。




そして私の目を真っ直ぐ見て、詰まっていた音は、意味を持って鳴り響くーーー






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category:  第16章鈴の音

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