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A loved one

女性同士の恋愛を取り扱う百合小説サイトです。オリジナル小説で主に年上×年下を取り扱っています。無断掲載・無断転載・複製・配布等は禁止です。以上の事を踏まえた上でのご入場宜しくお願い致します。

第2章 男の子な転校生① 

 それから数日間、毎朝椿さんと一緒に登校した。

帰りは私が部活だったり椿さんの仕事がってことがあり一緒に帰ることは少なかったが、私は毎朝出会えるだけでも幸せだった。

 その数日間で分かったことは、椿さんに名前を呼ばれるとドキッとする、椿さんの笑顔に見惚れてしまう、部活後でもホームを見渡して椿さんがいないか探してしまう、私の頭の中は椿さんだらけ。
いやいや待て待て、これじゃあ椿さんのこと好きみたいじゃないか。
ダメダメ、私が好きなのはあの人なんだから、うん。
しかも椿さん社会人だし女性だし、ないない。

 ブンブン頭を振っていると担任の先生が入ってきて言った。

「転校生が来てます、どうぞー」

そう言うや否やガララと教室のドアが開いて1人の男の子?が入ってきた。

いや、ていうか先生入れるの早くね!?もうちょっとクラスの反応見てから入れないの!?

入ってきた子はこげ茶のような髪を肩にかかるくらいの長さで無造作に伸ばしていて、ダルそうな半目で制服はどちらかと言うと着崩していて、分類するなら、不真面目のほうに分類されるだろう。

その子は教卓の隣に立つとおもむろに黒板に字を書いていった。

「柏原 優輝です。これでも女です。よろしくお願いします」

制服がスカートではなく女性用のスラックスでお胸のほうも寂しかったから一見男の子に見えたが女の子のようだった。
申し訳ない、男の子かと思っていたよ。

 ぱちぱちと教室中は一瞬拍手に包まれたがすぐに収まり先生は空いている席に促した。

私からはだいぶ遠い席だ、漫画みたいにうまくはいかないものだ。
偶然隣の席が空いている!そんなことはない、今もしっかりと私の隣はぐーすか眠りに入っておりますとも。

 柏原さんが席に着くと前後左右の子たちが質問攻めしていた。
先生の話聞いてあげようぜ、ほら、ちょっと悲しそうな顔しておるよ。
ちょっと質問の内容が知りたくて聞き耳をたてる。

「優輝ちゃんは好きなことなにー?」
「寝ること」
「へっへぇー……変ってるね。じゃあ部活とかなにか入る予定とかある?」
「特に」
「……あっありがとー」

質問攻めにはあってなかったようだ。
ていうかあの人友達とか作る気あるのかな?っていうくらい素っ気無い返事で地味にびっくりしてます。

私は特に転入生に興味はなく、いつも通り過ごした。

 6時間しっかりと授業を受けると私はそそくさと学校から出た。

音楽を聴きながら飴ちゃんを口に中で転がしていると、駅前でうずくまっている人を発見した。
その後ろ姿に見覚えは無く,何事もなく通り過ぎようとしたが、好奇心でちらりと顔を見て思わず立ち止まってしまった。

「あれー転校生ちゃんじゃん」

 うずくまっていた人―――柏原 優輝は私の声に振り返った。
よく見るとうずくまっていたのではなく猫を撫でていた。

「あ、」

柏原さんは私の顔を見るとポカーンとした顔で見つめてきた。
今にも指をさしてきそうだ。

「あー楓は決して怪しいものじゃないよー君のクラスメイトさ」

グッとサムズアップしてふざけてみる。
なぜ学校の外にまで来てこのキャラを維持しなければいけないのかさっきからずっと脳内を駆け回っているが。

柏原さんは手元の猫を撫でる手を休めずに呟くくらいの声量で言った。

「知ってる」
「え?何?知ってる?ほー転校生ちゃんのもとに質問攻めとか行ってないのにこれまたすごいな。エスパーか?」
「1人だけ雰囲気違った。目立ってる」
「あーやっぱり?楓ねー生まれながらの天才だから目立っちゃうのも仕方ないんよ」
「無理しなくてもいいんじゃない?」
「は?」

最初は柏原さんの言ってることが全く理解できなかった、が次の言葉で言葉を失った。


「君一体何人自分を作った?」


 その言葉に私は固まるしかなかった。
普通の人がこの言葉を聞いても「いや、自分作るとか何者」とかそんな風になるだろう。
だがいくつものキャラをその場その場で使い分けているものが聞いたら固まるのもうなずける。
しかも昨日今日で使い分け始めたのならばれる可能性もなくはないが、私はかれこれ5~6年程使い分けている、プロと言ってもいいくらいだ。

しばらく固まっていたがハッと気がつくと辺りは真っ暗……ってことはなく駅の時計はさっきと同じ時間を示していた。

「えっと……どういう意味で?」
「とぼけなくていいよ。今の君は作り物ってこと」

なんだこいつはなんなんだ、今日転校してきたばっかでしかも今はじめて話したくらいの初対面なのに、私がいままで一生懸命作り上げた自分をいとも簡単に壊された。

「えーっと、なんでそんなことを?」
「ただ単に僕は人間観察が好きだから見てたら分かるようになっちゃった」

どうやら柏原さんの一人称は「僕」のようだ。じゃなくてそんな簡単な理由で片されてたまるか!

「へーじゃ楓が今考えてること分かったりする?」

ついこめかみに怒りマークが浮かび上がりそうなくらいの笑みで挑発する。

「いや、別にエスパーじゃないから人の考えてることを読み取ったりするのはできないよ」
「ほー出来ないのねぇ」
「だけど今の君は誰にだってわかると思うよ」
「なに!?」

 いつの間にか猫はどっかに行ってしまったようで、柏原さんの手は手持無沙汰にルービックキューブをいじっていた。
どんどん色が揃っていくキューブ。
あと6マス。あと2マス……出来てる!!

「じゃなくて!今考えてることは!?」

柏原さんはルービックキューブをポケットにしまい、代わりに知恵の輪を取り出した。
あのポケットは四次元か……


「んー?なんで僕のような奴に見破られるんだって感じかな」


絶句しかなかった。
当たってる、そんなに私は分かりやすい顔をしていたのだろうか。

「当たりって感じだね、まぁその疑問にはさっきと同じ答えで人間観察してたから、だよ」

柏原さんは解体した知恵の輪を組み立てながら私を馬鹿にしたようにニヤリと笑った。イラッ

「あーもういいや、めんどくさい。じゃね」

さっきまでのテンションは何処へやら、声のトーンは変わり、さっきまで活発そうな子のようなきらきらした目も今は開くのもだるそうに半目になっていた。

そのままフラっと改札に吸い込まれると思われたが、

「それが本当の君?」
「……知らね、君の想像に任せるよ」
「オーケー。それと最後に、僕にもしっかり名前があるんだ、柏原 優輝、優輝でいいよ」
「おーじゃな優輝」

私は振り返ることもせずにさよならを告げ改札に吸い込まれていった。




 その日の夜、私はベットに寝っ転がっていた。
珍しくぱつりを開かずにただぼーっと天井を見つめていた。

頭に浮かんでくるのは珍しく椿さんではなく今日の帰り道に出会った人、優輝のことだ。

なんか気になる、椿さんのような気になり方ではなく、なんか気になるのだ。

それは、私の作った自分を見抜いたからかもしれない、なにげに優しく、自分を名前呼びさせるような人ではなさそうなのに名前で呼ばせたからかもしれない、はたまた、実は猫が好きで頭を使う遊びが好きなのに気がついたからかも……これは違うな。

「なんか……ニヤケんな」

 思わず上がった頬を抑えるように頬を手で抑える。
ふと出た言葉に苦笑する。

本当は作った自分のことを心のどこかで気がついて欲しかったのかもしれない。
これは本当の私じゃない、私の抱えている不安に気がついて、といつも思っていたのかもしれない。
そう思っていたところに優輝が現れていとも簡単に作った私を壊したのだ。
本当は嬉しいのだ。
本当の私をやっと見つけてくれた唯一の人だ。

「ふっふふ」

思わず声に出して笑ってしまう、幸いこの家には夜になっても私1人だ。

1人暮らしではないが、ほぼ1人暮らしと言ってもいいだろう。
兄弟は無く、母は小さいころに事故で亡くなったそうだ、あまり覚えていないが。
父が毎日深夜近くまで帰ってこないから、ほぼ1人暮らしをしている。

「駄目だ、考えれば考えるほど仲良くなりたい」

ゴロンと寝がえりをうつとニヤケる頬をそのままに目を閉じた。
ぽつりに呟くことなく。
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category:  第2章男の子な転校生

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