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A loved one

女性同士の恋愛を取り扱う百合小説サイトです。オリジナル小説で主に年上×年下を取り扱っています。無断掲載・無断転載・複製・配布等は禁止です。以上の事を踏まえた上でのご入場宜しくお願い致します。

第14章 限界⑤ 

時刻は22時11分






「あや、か?」






私の目に映ったのは、綾香だった。


私の鼓膜を震わせた声の持ち主は、綾香だった。


なんで?どうして綾香がここに?

「な、なんで……?」













「私じゃ、ダメ?」













「え、」


今にも泣き出しそうな綾香の声が雨音に掻き消されず、駅のホームに鳴り響く。


































「好きなの。楓のことが、好きなの」


































反応が出来ない。


疑問を返すことさえできない。


声を出そうとすれば、ヒュッと息が出るだけ。



綾香はゆっくりとベンチに近づき、私の頭を抱き寄せた。





「っ!!で、でも!楓は好きな人がっ!」
「知ってる」


ようやく出たと思ったら訳のわからない言い訳で、それもすぐに切り捨てられる。


「相手は女性で社会人、全部知ってる」
「じゃ、じゃあなんでっ!」






「楓が、苦しんでるから」





「っ!!!!」



熱い。


抱きしめられてるから、熱い。


目頭が熱いのも、そのせいだ。


頬を流れてるのは、汗だ。





「楓が、苦しんでいるのをずっと見てきた。いつか解放されると思って見てるだけだった。でも、もう限界だった」



「楓があの人を想ってる気持ちごと、受け止めるから。そしていつか、忘れさせてあげるから」








「だからもう、我慢しないで」








怖い。


椿さんへの気持ちを忘れることが怖い。



でも、いつかそんな日が来るとは薄々気が付いていた。



叶うはずのない恋。



辛いだけの恋。



1度諦めかけた恋。








もう、終わりにしようかな……





「全部、私に吐き出していいから」






ぽつり、と







「…………好きだった……」






私の口から感情が溢れ出る。







「っ……うっ…く…す、好きだった……好きだった!!初めてだった!!話をするだけで、幸せだった!!うぅ…う、あぁ……」

「うん。全部、吐き出して」



しばらく、駅のホームには雨音と1人の泣き声が鳴り響いていた。

















































その光景を、楠見椿は、見ることしか、出来なかった。




***




「落ち着いた?」

そう言い、綾香は水を差し出す。

「うん、ごめん、ありがとう」

軽く一口だけ飲むと蓋を閉め、気まずそうに綾香とは反対を向く。

「あの、えと、ごめん、その、服……」

私が指をさしながら謝ると、綾香は改めて自分の服を見て、ニッコリと笑う。


「これは楓が私に甘えてくれた証拠!」


かあぁっと顔が赤くなるのを感じた。

黒歴史だ。
女の子の胸を借りて大声で泣き叫ぶなんて……!!


そして、その甘えてくれた証拠もぐっしょぐしょのぐっちゃぐちゃ。

ドン引きしない方がおかしい。










「……返事は、決まった?」




ピクリと、水を持っていた手が反応する。

まさかそんなすぐに聞かれるとは思ってなかった。
心の準備が出来ていない。

「あ、えと、もうちょっと考えさせーー」
「ダメ」
「え?」








「今すぐ、返事を聞かせて」




ゴクリと唾を飲み込む。



頭をよぎるのは椿さん。


超絶クールビューティーな見た目に合わず、すごく優しくて、少し天然なところもあるけど、仕事してる姿は格好良くて、ビシッと着こなしたスーツ姿でも時々凄く子供っぽく笑って、からかうと軽く眉を寄せる仕草、時々見せる頬の赤らみ、頭を撫でる時の何かを愛おしむ様な目がーーー






そんな、椿さんの全てが好きだった。



でも、あの人は大人で、大人には大人の世界があって、私なんかが踏み込んじゃいけなくて、勝手に恋をして、勝手に苦しんで、椿さんを困らせた。























ごめんなさい、



困らせて。









ごめんなさい、



恋をして。











もう、





















諦めます。








「泣かないで」


スッと隣から綾香の手を伸びてくる。

流れてるの涙に触れる前にその手を掴み、両手で包み込む。


「うん、もう泣かないから、大丈夫」


落ち着いていた。


もっと、さっき以上に泣き崩れるかと思ってた。



綾香の目を見て、答える。




「ずっと見ててくれたんだよね」



「全部、受け止めてくれるんだよね」



「いつか、私の中からあの人のこと忘れるさせてくれるんだよね」













「こんな大変なこと頼んじゃってもいいのかなぁ……」



自然と、笑みがこぼれた。


同時に、涙もこぼれた。


でも、もう涙は目の前の人の手によって拭われる。




「うん、大丈夫。私に任せて。いつまでも見ててあげる。全部受け止めてあげる。あの人のこと、忘れさせてあげる。だから……「ありがとう」」




声が重なる。


どちらかともなく抱き合い、お互い、涙を流しながら笑いあった。





その後、駅のホームという事を思い出しお互い顔を真っ赤にして別れたのは別の話。

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category:  第14章限界

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コメント

わぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ
急展開すぎて頭の処理がおいつかない…
名無し #- URL [2015/07/05 13:23] edit

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