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A loved one

女性同士の恋愛を取り扱う百合小説サイトです。オリジナル小説で主に年上×年下を取り扱っています。無断掲載・無断転載・複製・配布等は禁止です。以上の事を踏まえた上でのご入場宜しくお願い致します。

第12章 前より……③ 

お化け屋敷に着いた私達。お化け屋敷の舞台は病院。まぁあるあるだな。うん、大丈夫、なはず。お触りなしだし、行けるよ。多分。


ガタガタと青い顔で並ぶ私。
それを見てクスクス笑う優輝。
超笑顔で並ぶ綾香。
その他諸々。


ガタガタと震えていると、途端にポンと肩を叩かれる。


「いやああああああああ!!!……あぁ、優輝か、ビックリさせないでよ」
「いやまだお化け屋敷の中じゃないし」


それより、と優輝が後ろを指差す。

その先には、遠くてよくわからないが嫌がっていそうな女性を笑顔で宥めさせ徐々にこちらに近づいてくるOL……いや最初からわかっていた。あれはーー椿さんだと。
しかも笑顔で宥めている方。

うん。椿さんお化け屋敷とか大丈夫そうだもんね。

そしてそのままお化け屋敷の列の最後尾ーー私たちの後ろに並んだ。

ようやく私に気がつき、

「あれ、楓じゃんって、顔青いけど大丈夫なの!?」

あぁ、椿さんだけですよ。私を心配してくれるのは。

「はは、大丈夫に見えますかね?」
「おぉ、君が噂の楓ちゃんだね」

すると椿さんの隣にいた同僚が声を掛けてきた。

「どうだい?私と一緒に外で待機しようじゃないか」


な、な、な、な、なんて素晴らしいアイディア!!


「是非!」

私は迷う事なく差し出された手を握った。

「と、言うわけだから椿。私は楓ちゃんとイチャイチャして待ってるよ」
「んー、別にそれも良いけど、このお化け屋敷2人1組らしいのよ。1人でも入れないし3人でも入れないの」

イチャイチャに反応しなかった椿さんにショックを受けながら、私は椿さんが言った言葉を理解できないでいた。

「えーと、それがどうしたんですか?」
「ほら、今優輝ちゃん達合わせたら奇数になっちゃうの、だからどっちか1人入らないと回れないのよ」


……ん?それって、え?まさかこのお化け屋敷……リア充用か!!!
2人限定ってことはあれだろ!?
「キャ!怖い!○○君助けて!」
「大丈夫だよ、俺がいるから」
とかやってるんだろ!!なんだよ!ソロ充にもっと優しくしろよ!


と、まぁそれは置いておいて、私たちお化け屋敷入らない組は当たり前のように、

「「え、じゃあ椿(さん)入らなけれーー」」
「どっちか入らないといけないの」
「楓ちゃんが入りたいって」
「おいまてぇ!!!」


普通に、じゃあ止めれば、と言おうとした瞬間、空気が冷たくなったような感覚がし、思わず言葉を止めた。その後咄嗟に私は、売られた。


「いやいや!ちょ!お前おかしいだろ!」
「いやいや!楓ちゃん!年上に向かってその口の聞き方はないと思うんだ!」
「お前を年上と思いたくねぇ!」
「確かにそうだ!」
「……じゃあ楓、行こうか」

なんとなく面白いお姉さんとなんとなく面白い会話をしていたら急に椿さんが腕を掴む。

「う、わぁ……」
「何?そんなにお化け屋敷嫌いなの?」
「あ、いや、そうでは、いや、それもあるんですけど、それじゃないというか……」

歯切れの悪い私にクエッションマークを浮かべながら再び列の最後尾につく。
前では優輝がニヤニヤしてやがる。
すると、





「楓ー!一緒にお化け屋敷入ろっ!」





綾香が突然前から声を掛けてきた。
え、いや、雰囲気というかノリで私は椿さんと入ることになってたよね?
あれ、でも私が椿さんと入らなくちゃいけない理由なんてないな。
優輝でも良いわけだし……いやでも、










「ごめん、椿さんと周りたいから優輝と周ってよ」










そう言うと綾香は一瞬ショックな顔をして、椿さんを見たかと思うと、また笑顔になり、

「そっか!分かった!優輝!そういうわけだから!」
「うん、よろしく」

あれ、でも椿さんと周るの私が勝手に決めちゃって良かったのかな?
確認を取ろーー

「椿さん?どうかしたんですか?」

確認を取る為、振り向くと椿さんは私側から見える頬に片手を添えて、明らかに不自然だった。



あれ?椿さん、





「耳赤いですよ?」





「楓ちゃんデリカシーないな!!!!」

大きな声と同時に腕を引っ張られ列から外れる。
椿さんの友達のお姉さんは堪え切れない笑みを浮かべながらひたすら歩く。

「あー面白い」

列から十分な距離まで離れた私たちは立ち止まった。

「いや、なんで私を連れてきた?」
「まぁまぁつんけんしないのー」

近くにあったベンチに座り、私にも促す。

「椿とはさー同僚というか、幼馴染に近いんだよね」


な、なんか語りだした!
私が内心びっくりしていても話は止まらない。


「小学校からずっと一緒で、あ、でも高校は違ったな。椿は見た目超クールビューティーだけど実際子供っぽいところもあったり、実はピュアで恥ずかしがり屋だったり、人を気遣いすぎて空回ったり、結構不器用なところもあるんだよ。その性格は面白いくらいずっと変わらないで最近では珍しいけど、純粋なまま育ったんだよ」

いきなり語りだした時はビックリしたが、椿さんのことを語るお姉さんの声や目、そこに恥ずかしいくらいの優しさがこもっていて、この人は、椿さんが好きなんだなぁ、と感じた。


……勿論、私みたいな不純な好きではないさ。

「だけど、あの子はどこか遠慮している。人と深く関わりを持つ事をしないんだ。あからさまな壁はないよ、ただ、透明で頑丈な薄い壁を周りに張って一歩踏み込めない領域にいるんだ」
「それって……」
「勿論、小学校からの付き合いのある私にはないよ、ただ、そんな椿が最近変わったんだ」


そこで一区切りつけ、お姉さんは空を見上げていた目を私に戻しじっと見つめる。

あ、いや、別に好きな人じゃなくてもじっと見つめられると照れるっていうか、恥ずかしいっす。

「えっと、その話をして私に何を期待しーー」
「楓ーー!そろそろ順番よ!」
「あっ!はい!今行きます!……あ、えと、また今度!」

ビシッとふざけて敬礼のポーズをして椿さんの元へ戻る、が、


ガシッと腕を掴まれ変な声が出る。


振り返るとやはりお姉さんが私の腕を掴んでいた。

「え、ちょっーー」











「ーーーー君が思ってるよりもずっとあの子は弱い。君が思ってるよりもずっと、あの子は君を必要としている」











「え?どういうーー」
「……さぁ!行った行った!私の身代わりを果たしてくれたまえー!」

一体、どういう意味なのか、それを問いただしたいが時間もなければ、目の前のお姉さんの目が、それを許さない。

開きかけた口を閉ざし、私は何も言わずに椿さんの元へ駆けた。




***




「クスクス、あー面白かった!……ふふっ」

お化け屋敷に入った私は当然ビビった。椿さんがいるから見栄張るとか、無理無理。そんな余裕はありません。

て言うか、椿さん入った途端、

「やだ、私も怖いかも」

とか言うんだもん!頼りにしてた椿さんも怖がってちゃもう終わりだよ!
でも実際全く平気で逆に怖がって縋り付いてる私を見て笑ってるくらいだった。

「もー本当に、椿さんたち悪いですよ」
「だってー怖がってる楓可愛いんだもん」

もんとか!もんって、そっちの方が可愛いわ!

  出口から少し離れた入り口に戻る為の最後の曲がり角に差し掛かろうとする。

皆間違えて先に行ってたりしないだろうか……そうしたら不可抗力で椿さんと居られるんだけどなぁ、不可抗力で。

そんなことを願いながら角を曲がる。




ガシッ




と何度目かの腕を掴まれ引き止められる。


……引き止められるの多いな!
掴まれた方を見ると、まぁそこには椿さんしかいないわけで、椿さんが引き止めたわけで、何を考えているのか分からない目で見つめられる。









「もうちょっと私に付き合ってよ」









「ん?」

そう言うと椿さんはすぐそこの曲がり角を曲がらずに反対方向、皆のいる入り口から遠ざかるように歩き出した。私の手を引いて。

「んん??!!」

一体どうなってる!?確かに私はもうちょっと椿さんといたかった。でも別に声に出してない。え、もしかして椿さんも思ってた?……自惚れですね。はい。多分私の顔に出てたんでしょうね、よく読まれますし。わかってます。

椿さんはおもむろに鞄からケータイを出し電話をかけた。

「あ、もしもし、茜?私私……椿よ!私私詐欺って何よ。……いやそうじゃなくて、ちょっと私楓と周ることになったから……うん、あんた優輝ちゃんに興味あるんでしょ?誘ってみなさいよ……うん、よろしく」

テキパキと進められていく作業。そこに私の意見はない。いや、まぁあっても無いようなもんですね。

  電話で先ほどのお姉さんーー茜さんに了承を得た椿さんは、

「そういうことだから」

と言い、手を引き別エリアへと足を進めた。



……どういうことだよ!!!!




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category:  第12章前より

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