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A loved one

女性同士の恋愛を取り扱う百合小説サイトです。オリジナル小説で主に年上×年下を取り扱っています。無断掲載・無断転載・複製・配布等は禁止です。以上の事を踏まえた上でのご入場宜しくお願い致します。

第10章 絶対無い① 

 内緒、と会心の一撃を食らった後、グラバー園から出て少し歩いたところにあるカフェに入った。
長崎にもちょっとオシャレなカフェなんてあるんだな。

 楠見さんは迷うことなく1番奥の窓側の席まで歩き、座った。
私が座りあぐねていると、楠見さんが首をかしげ、

「楓?」

座らないことが純粋な疑問のような視線が無遠慮に突き刺さって、楠見さんの目を見つめ返すことが出来ない。
 しばらくその光景が続いたが――私が根負けした。
楠見さんの真向かいに座ると、もう前なんか見れなくて、俯いてもじもじするしかなかった。

しかし、そんな私なんて気にすることなく楠見さんはメニュー表を見て眉をひそめて唸っていた。


 大人の余裕ってやつですか。どうせ私だけが楠見さんに惚れてるんですよ。


いっそのこと開き直って堂々と楠見さんを見つめる。

 ちょうど良く窓からさす光が楠見さんの艶のある髪を照らす。メニュー表と睨めっこして眉間に皺が寄っている。
サラッと落ちた髪をスッとした指で耳に掛け直す時に私の視線に気がついた。

「どうしたの?」
「いえ、なんでもないですよ」

 そう言いながらも楠見さんから視線を外さずに頬杖をつきながら悪戯心に火がついた。

「そお?」

そう言うと再び楠見さんはメニュー表に目を落とし、唸り始める。
 やっと決まったところで私にメニュー表を渡す。勿論、その時もずっと私は楠見さんのことを見つめ続けていた。
そのことにやっと気がついた様子で、

「なあに?ずっと見てたの?」

そう言う楠見さんはニヤっと笑って私をからかう様に身を乗り出した。
しかし、今からかっているのはこの私だ。楠見さん、ではない。





「はい、ずっと見てました。」





そう、恥ずかしがることなく、純粋度100%の笑顔で切り返す。
 ピクリと、楠見さんの表情に変化が現れる。しばらくフリーズしたままだったが楠見さんは頬杖をついて窓の外を眺めた。

「へ、へぇー、見てて面白いもんでもないわよ」
「……あ、楓モンブラン食べよ」


 してやったりぃ!!!!!
これがJKの余裕ってやつですよ!

もうね、頬杖で隠し切れていない頬や耳なんか真っ赤になって私は満足ですわ。ホクホクですわ。

 私のスルーにさすがにわざとやってると分かった楠見さんは真っ赤な顔で眉間に皺を寄せこちらを睨んでいた。






そんな子供っぽい表情にも愛おしさが込み上げてくる。






この溢れそうな感情を押し殺すように店員を呼んだ。

「えっと、モンブランと抹茶ラテ、楠見さんは?」
「私は、イチゴタルトとアイスコーヒーで」

コーヒーとか大人だなぁ。
……大人かぁ。

あぁそれより注文したから既に楠見さんの顔はいつも通りに戻っちゃってて残念。


 あれ、って言うか、普通に会話が出来ている。
これはもしかしてのもしかして、今までの私の数々の罪、謝らなくてもいいんじゃないだろうか。

そう思いフッと顔をあげ――









―――そんなこと一瞬でも考えてしまった私が恥ずかしかった。









 顔をあげて楠見さんの、大切なものを見るような、見ていて恥ずかしくなるような、見られていて恥ずかしくなる瞳を見て、私の考えが、ひどく子供染みていることに気がついた。

私は子供。
貴女は大人。

 現時点でそれは変えようもない、変わりようもない事実。
その大人と子供の間には今の私じゃ縮めようもない差がある。
それでも、少しでも近くに、少しでも対等になりたい。と考えていた筈なのに、その差を縮めるどころか立ち止まっていることに気がついた。
貴女から近づいてくれるんじゃないだろうか、近づいて私の手を取り引っ張ってくれるんじゃないだろうか。
そう、思ってしまっていた。

なんて、浅はかな妄想だろうか。
私がしなければいけないことを貴女に任せ、貴女の隣に立つチャンスを逃し、そして後から自己嫌悪に陥る。




これではただの子供じゃないか。




嫌だ。
貴女と対等でいたい。
貴女に手を引いてもらうんじゃなく、隣に並びたい。
貴女に頼って貰いたい。




そんな私になる為の第一歩は――
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category:  第10章絶対無い

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