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A loved one

女性同士の恋愛を取り扱う百合小説サイトです。オリジナル小説で主に年上×年下を取り扱っています。無断掲載・無断転載・複製・配布等は禁止です。以上の事を踏まえた上でのご入場宜しくお願い致します。

第7章 再会② 

「つば、き、さん……?」






 ふと出た「椿」と言う呼び名の間違えに気づく様子もなくただただ立ち尽くす。

楠見さんは最初からこちらを見ていたのかじっとこちらを、私を見ていた。
その目には驚きが濃くあったが、ほのかに嬉しそうな、そんな感情もあった。

そんな目をしている楠見さんを見て、私の頭ではクエッションマークが飛び交っていた。

なんで楠見さんがここに?
楠見さんは東京にいるはずなのに。
長崎に来るとしても同僚なのに。
なんでちょっと嬉しそうな顔をしているの?
その感情は私が持つものじゃないの?
楠見さんは私に会えても嬉しさを感じる理由が無いもの。




なんで?

なんで、なんで?

なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんデなンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナン―――




 瞬間、楠見さんの口元が動いた。
ヤバイと思った。
ここで、楠見さんと話してはいけないと思った。
私は咄嗟に、

「あーー!!何か急に眠くなってきたーー!!さっき真面目に話聞いてたから疲れちゃったのかなーーー!!ちょっと先にバスで寝てるねーー!!」

そう言うとダッシュでバスに乗り込んだ。




***




「っぶねぇ……」

バスの座席で膝を抱えて目を手で覆いながら、ふぅと息を吐く。

あれだけ会いたいと思っていながら、実際に目の前に現れるとなると話は違う。
心の準備が全く出来ていなかった。
なのに――

「畜生ぉ……なんでこんな嬉しがってんだよぉ……」

さっきから私の中では嬉しさが込み上げてくる。
抑えきれず頬がつり上がる。

だが、私のプライドがそれを許せなかった。
今まで私から避けていたのに、この修学旅行を期にまた仲を戻せるんじゃないのだろうか、と思ってしまってる自分が嫌だった。
やるんならとことんやらなければいけな――


ポンポン


 パッと上を向くと優輝が頭を撫でてきた。
相変わらず不器用だ。
 その口はゆっくりと動き、




「自分を抑えるなよ?」




 その言葉に私は固まった。
優輝はそんな私に構わずニカッと笑った。

「君、顔に出やすいの忘れたの?バカ?」

カッと顔が熱くなるのを感じた。

「なっ、おまっ、人が悩んでるってのにバカとは何だバカとは!慰めの1つくらいっ!!」
「だーかーらー、自分を抑えるなーって言ったじゃん。君結局諦めるとか無理なんだから逆に落としていく覚悟で当たればいいじゃん」
「おとっ、てぇ、おまっ!」

おおおおおおお落とすってお前、むむ無理だろ!
女だぜ?学生だぜ?私だぜ?
……おう、考えたらちょっと落ち着いてきた。

「無理だってそんなの……」

すると突然優輝のふわふわした空気が消えたような気がした。
うつ向いたまま優輝の言葉を待っていても一向に返事が来ない。

恐る恐る顔をあげてみると、優輝は私を哀れむような、そんな目で見下していた。


なんで、
なんでそんな目で私を見るんだよ。
仕方無いだろ?
無理なもんは無理なんだから、自分を抑えるなよ、とか言われても抑えなかったらどれだけの人が傷つくか、どれだけ私が傷つくか知らないから……

「楓は……その気持ちを諦めるのも無理で、逆に落とす勇気もなくて……じゃあ楓は一体どうしたいの?まさかこの状態を続けるなんて言わないよね?」
「……」







「君に、気持ちを伝える気が無いのなら僕が言ってあげるよ」







「っ!!!!」

優輝の発言に咄嗟に優輝の腕を掴む。
優輝の目は本気だ。
私が気持ちを伝えなかったら本気で伝える気だ。
優輝の目に映った私の目には、怯えがあった。




「恐いんだよぉ」




自分でもびっくりするくらい情けない声を出していた。



 気持ちを伝えたら、気持ち悪がられるかもしれない、異形を見る目で私を見るかもしれない、私の気持ちを周りに言いふらして皆で私を嘲笑うのかもしれない。



そんな恐ろしい未来を想像してしまった私は一歩も進むこともできなければ戻ることもできず、俯き、縮こまるしか出来なかった。

「僕じゃ、力になれない?」

 ふと、優しい優輝の声が下から聞こえる。
顔を少し上げると優輝がわざわざ屈んで目線を合わせるようにしていた。

「僕じゃ、君の手を引いて、一歩を踏み出す手助けも、出来ないのかな?」

ぐっと手を取ってる優輝の目には優しさ、自分じゃ力になれない悔しさ、それでも力になりたいと思ってる強さ。
そんな優輝の目を見ていたら、自然と頬に涙が伝った。
涙を拭うことをせずに、小さく首を振ると優輝は安心したように笑った。



 こんな私に一生懸命になってくれる人なんて今まで1人だっていたことがなかった。
こんなに心強い親友がいるって言うのに一体私は何を恐がっていたのか。
今更ながら自分が馬鹿らしく思えてきた。



「ばっかだなぁ自分」
「今気づいたの?」
「うるせぇ」

 自然と笑いがこみあげてきて2人でしばらく笑い合っているとクラスの人たちがぞろぞろ乗り込んできて変な眼で見られた。
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category:  第7章再会

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