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A loved one

女性同士の恋愛を取り扱う百合小説サイトです。オリジナル小説で主に年上×年下を取り扱っています。無断掲載・無断転載・複製・配布等は禁止です。以上の事を踏まえた上でのご入場宜しくお願い致します。

第1章 せいぎのひーろー① 

 その日もいつもと同じように起きて、顔を洗って、髪の毛整えて、ご飯食べて、制服に着替えて、いつも通りの時間に出て、いつも通り音楽を聴きながら電車に乗って学校に行く。

そういつもと何ら変わりない流れ。
しかし今日に限ってその流れは違った。


痴漢だ。


 そう思った瞬間それは一気に脳内を駆け巡り危険信号を発する。

私の左斜め前にいるOLさんの顔が見る見る赤くなっていく、原因は何か、勿論痴漢だ。
……は?お前が痴漢に遭ってるんじゃないのかって?そんなわけない。
こんな平凡で後ろでちょぴっとしか結べない髪の毛の長さで胸は無いに等しい、いつもやる気がないのか半目で眠そうに欠伸をする。
色気ゼロ。
男装をすれば間違えられるほど男勝りな奴よりも、左斜め前の背が高くて肩甲骨位まで伸ばしたサラサラの黒髪でスタイル良くてビシッと着込んだスーツが似合うOLさんを触ったほうが痴漢も幸せだろう。

っといけないいけないこんな紹介しているうちに痴漢は続いている。
OLさんは声を出せずにいた。
仕方なくイヤホンを外して声を出した。


「あなた何してるんですか」


 その声は無意識に低く冷く、静寂の電車に異様に響き渡り少し私も驚いた。

周りの人が急に声を出した私を怪訝そうな目で見つめてくる。
私はそれを無視して痴漢をじっと見据えた。
痴漢は声と視線に気が付きゆっくりと振り返った、その顔には焦りと戸惑いの色が見えた。

「あなたですよ」

 私はもう一度、今度は目を見てはっきりと言った。
途端に痴漢はOLさんに触っていた手を離して否定する。

「おっ俺は何もしてねぇよ!おっ俺が一体何をしてった言うん――」
「痴漢」
「っ!!!!」

と、丁度そこで私が降りる駅についたのでついでに痴漢を突き出すことにした。

「降りてください。出来ればあなたも」

 被害にあっていたOLさんは何が何だかさっぱりと言った様子で私たちを見ていたが私が声をかけるとコクンと頷くと一緒に降り、近くの駅員さんに事情を説明して痴漢を突き出した。

最後まで痴漢は「俺はやってない!ただ手がちょっと当たってただけなんだ!」結局は触ってんじゃねーかバーカバーカ。
そうやって無表情のまま心で罵っていると

「あっあの……」

 控えめだが凛と鈴が鳴るよう声が後ろから聞こえてきた。
振り返るとさっきの被害者のOLさんがご丁寧に背の低い私に合わすように腰を屈めていた。畜生。

「さっきはどうもありがとう。私怖くて声が出せなくて…」
「あ、いえ。当たり前のことをしただけです」
「……カッコいいね君」

そういうと女神のような微笑みをかえされた


うわぁ綺麗


 思わず言葉を失ってしまうほど見とれてしまった。
世の中にはいるんだな、笑顔だけでこんなにも見とれてしまうような人。

「じゃあ、何かの縁だし名前聞いてもいい?私は楠見 椿」
「あ、河野 楓です。あ、てかすみません。仕事に向かう途中なのに楠見さんに途中下車させてしまって…」

 話す前に「あ」がついちゃうのはコミュ障ならではの悩みというものだ。
逆にコミュ障なのに痴漢に声をかけたり、今こうして会ったばかりの人と会話が成立しているのが奇跡なくらいだ。

「楓ちゃんね、覚えたわ。大丈夫よ私も丁度この駅で降りるから」
「あ、それはよかったです。あ、後えーとその、ちゃんづけ止めてください。あまり好きじゃないんで…すみません」

 楠見さんは一瞬驚いた顔で目をぱちくりさせたがフフッと笑った。
私は少しむっとしながら

「なにか」

明らかに不機嫌ですよオーラが出しているにもかかわらず楠見さんはニコニコと笑っていた。

「ごめんね怒っちゃったかしら?わかったわ、ちゃんはつけないわ楓。そのかわり」

楠見さんはビシッと指を突き付けて

「楓も私のことは椿と呼びなさい」

そう言うとまた女神のような笑顔で笑った。
その笑顔をみると私はなにも反論できずに、

「了解です……椿、さん」

私がさんづけしたのが気に食わなかったのかぶつぶつ何か言いながら時計を確認すると目を見開いた。

「大変!もうこんな時間!今度ゆっくりお礼でもさせて!またね!」

そう言うと私が何か言う返す暇もなく駅の改札を通って行ってしまった。

「変な人」

ぽつりと誰もいない駅のホームでの私の呟きは誰に聞かれるでもなく消えてった。
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category:  第1章せいぎのヒーロー

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