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A loved one

女性同士の恋愛を取り扱う百合小説サイトです。オリジナル小説で主に年上×年下を取り扱っています。無断掲載・無断転載・複製・配布等は禁止です。以上の事を踏まえた上でのご入場宜しくお願い致します。

第5章 延びるが来る⑤ 

 「――っとまぁこんな感じですよ……激しく自分が思ってることが馬鹿だと思ったね……」



 優輝は私が話している時何も言わずに黙って目を見て聞いてくれた。
conbuで話したのと同じような内容を話した。
勿論楠見さんが好きだということも。

 優輝は喋らない……ドキドキ
真剣な顔で考え込んでいる。
まだ喋らない。
……まだ喋らない。
……まだ、まだ、ま――


「可能性はあるんじゃない?」
「え?」


可能性はある?可能性?

「なんの?」
「は?あー、楓の気持ちが届く可能性」
「なんで?」

だって楠見さんには彼氏がいるんだよ?
女の私が叶うはずがないじゃないか。

「楓がさ、僕に泣きついてた日、覚えてる?」
「う、うん」
「あの時さ、見てたんだよ楠見さん」
「……は?」

さっきから間抜けな受け答えしか出来ていない。
優輝の口から出てくる言葉がすべて予想外すぎる。

「僕が泣きついてる楓を慰めているところを見てたんだって」
「まじか……」
「その時の楠見さんの表情がね、こんな感じ」

 そう言うと優輝は最初に目をちょっと見開いて驚いたような顔をして、次に眉を下げて困ったような顔をして、次に……なんだこれは、へにゃっと笑った。気持ちわりぃ。

「こんな顔してた」
「絶対それふざけてるだろ」
「ふざけてないよ!僕はいたって真面目さ!」
「何だ最後のへにゃっとした笑顔は、あんな気持ち悪い笑顔楠見さんがする訳ねぇだろ」
「あーもー口でいえば良かった!最初に!驚いた顔をして、次に寂しそうな顔をして!次に淋しさが入り混じった笑みだったの!」

あれが、淋しさが入り混じった笑み……あれは絶対に人を馬鹿にしてる時の顔だ、って、あれ?

「淋しそうな顔をしたの?」
「そういってんじゃん」
「なんで?」
「なんでって……なんでだろ?」
「わかんねぇのかよ!」
「いやでも、嫌いと思ってる人が泣いているのを見て淋しそうに笑う人はいないよ!」

……確かにそうだ。
近づいていたのを利用してヘッドロックかまそうとした手を下ろしながら考える。
なんで楠見さんは淋しそうに笑ったのか、淋しそうに笑う、どんな時に?

「なぁ優輝、どんな時に淋しそうに笑う?」
「はぁ?んー……自分にとっては淋しいけど、相手の幸せを願う……あ!!!まさか、いやでも、いやあり得るな。こうなったら直接!!……っていないんだ!修学旅行の馬鹿やろぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
「は?え?どった?」

 突然優輝が悶絶し出した。
1人で解決してんじゃねぇよ。
てか、修学旅行は決して馬鹿ではないぞ。
高校生の一大イベントだぜ。
っていうか優輝、お前そんなに叫ぶようなキャラだったか?

「とにかく!東京に帰ったら一番に楠見さんに謝るんだ!」
「なぜあやま――」
「いいから!次に、楠見さんに彼氏はいるか聞くんだ!」
「いや、だか――」
「この二つは絶対に聞くこと!以上!」
「え、ちょっまっ」

 優輝はそのままホールを出ていく。
と思ったら急に立ち止まってまた戻ってきて私の両肩に手を置いた。

「しかも君、楠見さんへの気持ちが自然消滅で消えると思う?」
「っ!!!」
「思ってないでしょ?ちなみに言っておくけど話聞いてる時たまに“椿さん”って言ってたよ」

 そう言うと優輝は今度こそホールから出て行った。
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category:  第5章延びるが来る

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