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A loved one

女性同士の恋愛を取り扱う百合小説サイトです。オリジナル小説で主に年上×年下を取り扱っています。無断掲載・無断転載・複製・配布等は禁止です。以上の事を踏まえた上でのご入場宜しくお願い致します。

第3章 違和感② 

 楠見さんとのご飯の前日。
私はふらりと外へ出た。
明日、直接聞くんだ。今から緊張している。
あー、ドキドキしすぎて心臓破裂しそう。
よし、気を紛らわすために隣駅の本屋さんに行こう。
本に囲まれると落ち着くからな。

 そのままふらりと電車に乗った。

本屋本屋。

私の頭の中はすでに本のことしかなかった。
私が本を読むことが以外というやつは多く、学校で読んでると「楓、本読むんだー!スポーツしかしないかと思った」とかほざいてやがる。っといかん言葉が雑過ぎた。

 そうして本屋さんでしばらく時間をつぶした後、近くのファーストフード店に入った。
カウンター席でもしゃもしゃとバーガーを食べながら私特有のやる気のないような眼で外を眺めていた。
視界の端に映った二人組に目がとまった。



え、なんで?



 唐突に視界に入ってきた人物に驚きを隠せないでいた。
その人は私服姿で隣の背の高い男性と一緒に歩いていた。
ただのそこら辺のリア充だったら、爆発しろで終わるだろうがそうはいかなかった。



楠見さん……なんで



 あれはどうみてもカップルにしか見えない。
まさか楠見さんに好きな人がいるだなんて知らなかった。

別に楠見さんの行動を縛りたいわけじゃない。
今日、土曜日をずらして日曜日に約束して自分はデートしてることに疑問を思ってるわけじゃない。
ただ、言ってくれても良かったんじゃないか?
勿論、そんな親密な関係とまでは言えない関係だったが、それでも言って欲しかった。



私は我儘なのだろうか?
私は強欲なのだろうか?
私は――私のこのキモチがわからない



 胸の奥がずっともやもやしてて、
初めて会った時の笑顔が忘れられなくて
頭を撫でられた時の感触が忘れられなくて
あの笑顔をまた欲してる私がいて
あの感触をまた欲してる私がいて
あの人のすべてを見たいと思ってる私がいて
あの人にならすべてを見て欲しいと思ってる私がいて
心のどこかで気が付いてる私がいて
それを必死に否定してる私がいて



そして――あの光景を見て嫉妬している私がいる



 気がついた、気が付いてしまった。もう必死に否定しても遅かった。





楠見さんが好き、だと――






「こんなところでなにして――え!?どうしたの!?」

 唐突に聞き覚えのある声が聞こえた。
振り返るとそこには――

「優輝ぃ……馬鹿かお前は、普通そこ楠見さんが出てくるんだよ馬鹿ぁ」

 シャツにジーパンというラフな格好でいる優輝。
手にはスーパーの袋がぶら下がっているところをみると、案外この近くに住んでるのかもしれない。
 優輝はあきれたような顔をして、

「そんな、泣き顔しながら馬鹿言われてもなぁ」

 その言葉でやっと気がついた、私が泣いてるということに。
頬に手を当てると確かにそこには涙が流れていた。

「あ、あれ?違うし、これ水こぼしただけだし」
「どんな言い訳だよ、しかも楠見さんって誰だし」

 その名前を聞き思いだす。
バッと顔をさっき楠見さんがいたところに戻すと、楠見さんはその近くのカフェの窓際に座っていた。
その私の視線の先をたどって優輝も楠見さんを発見したらしい。

「あぁあの綺麗な人か、あの人がいいんなら呼ぼうか?ん?でもあの人デート中だぜ?」
「ん。だから優輝でよかったの」

 私は遂に耐えきれなくなって優輝の服にしがみついて顔を埋めた。

「おい、服汚すなよ」

 そう優輝は言ったが、頭を撫でてくれた。
楠見さんとはちょっと、いやだいぶ違う荒い撫で方だったが、今はそれが気持ちよかった。
私は声を殺して泣いた。

今思えばその時の優輝への周りの視線は悪夢だったのかもしれない。
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category:  第3章違和感

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