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A loved one

女性同士の恋愛を取り扱う百合小説サイトです。オリジナル小説で主に年上×年下を取り扱っています。無断掲載・無断転載・複製・配布等は禁止です。以上の事を踏まえた上でのご入場宜しくお願い致します。

第4章 お酒と煙草は二十歳になってから③ 




そんな待ちに待った金曜日がやってきた。
気合い入れすぎて、学校に借りた服持ってきてしまうという失敗。
いや、まっすぐ家行くつもりかよ。
学校終わる時間と会社終わる時間違うやろ。
家近いんだから一回帰っても十分間に合うわ。

そんな失敗はさておき、

「楓―今日飲み行くぞー」

大学での数少ない私の友達、タカシが突然現れた。
お前は今どこから現れた。

大学には一定数いるのだ。超能力者が。
ではなく、女殺しと呼ばれている私にも気にすることなく、接してくれる人たちが。

「彼女に振られたから俺の慰め会して」

彼女に振られたこの男は、振られた風など一切出さず、ケロリとした顔で爆弾を投げてきた。
そんな奴でも数少ない友達の為なら存分に慰めてあげたい。慰めてあげたいけども。

「ごめんぬ!今日は先客だ!」

パアンッと両手を顔の前で合わせ南無。

「お前の数少ない友達だぞ?いいのかそんなこと言って?」

半ば脅しのようなセリフを吐きながら、南無を続ける私を見て諦め、タカシどこかへ消えた。


すまねぇ、友よ。
今日は待ちに待った椿さんの家にお邪魔する日なんだ。
服だけ交換すればいいじゃんとか思いがちだけど、この前の呟きを聞いてしまったら、長居する気しかない。
だから飲み会後でもいいじゃんとか思わないでくれ。



***



「どうぞー上がって」

そう言い背中を向けリビングへ向かう椿さんにはついて行かず玄関に立ち止まる。
私が来ないことに気が付いたのか、玄関に顔を出す椿さんの表情はいつも通りだ。

「どうしたの?」

いつも通り、可愛くて、愛おしい。


「好きです」


そんな言葉が自然と出てきた。
前回お邪魔した時も好きとは言ったがが状況が違う。
好きなんて言う雰囲気でもない。
玄関で、お邪魔したとたんに、第一声で。

少しだけ、目を見開く椿さんだか、すぐにおどけた表情で、

「またまたー、今回は私泣いてないですよー、元気づけてくれなくても大丈夫ですー」

そういい、私を置いてリビングに向かおうと、離れようとするから、思わず腕を引いた。
力が強かったのか、よろける椿さんを抱きしめるように受け止める。

「元気づけるためだけに言ったんじゃありません。あの頃からずっと、ずっと好きです」

腕の中の椿さんは石になったのかと思うほど動かないと思ったら、ゆっくり、躊躇いながら、私の背中に腕を回した。



「好き、って言ってもいい、かな?」



「ふふっ、なんですかそれ。許可がないと人を好きななっちゃいけないんですか?」

捨てられた仔猫のような目で聞かれるとは思わなかった。
その答えはもちろん、


「言ってください。私も言います」


ぎゅっと腕に力を入れると、同じように少しだが、椿さんも力を込めた。
しばらくして、ゆっくりと顔を離し、お互いを見つめる。
自然と近くなる二人、目を閉じて――

ブブー、ブブー

ピタリと止まる。
電話のバイブ音だ。
顔をしかめながら、携帯を取り出す、が、画面には何も表示されていない。しかし、私の耳にはバイブ音が届いている。

「椿さんの携帯ですか?」

その声で、目を開く椿さん。

「なにが?」

「え、このバイブ音」

「鳴ってる?」

そう言うと背中から手を放しリビングへ向かう。

リビングからは聞こえていない気がする。
どっちかって言うと右耳あたりから聞こえる。
右を向いたその瞬間、後頭部を衝撃が襲った。



***



「ったぁ」

思わず後頭部を押さえる。

「電話きてんぞ。椿さんから」

寝ぼけ眼をこすりながらバイブ音を発する携帯に手を伸ばす。
画面には「楠見 椿」と書いてある。
んー、なんかさっきまで椿さんといる幸せな夢を見てた気がする。
思い出すことを諦め、応答ボタンをタッチ。

「はい、楓ですー」

『あ、楓、ごめん今大丈夫?』

「はい、大丈夫です。なんでしょ」

『本当に申し訳ないんだけど、今日遅くなりそうで、また日を改めてもいいかな』

「あー、なるほど。大丈夫ですよー」

『本当にごめんね、折角予定空けてたのに』

「いえ全然、ちょうど、彼女に振られたとかいう友達の慰め会に誘われてたんで気にしないでください」

『そっか、よかった。じゃあまた改めて連絡するね、じゃね』

「はーい、お仕事頑張ってくださーい」

通話終了をタップ。
スッと席から立ち上がり、あたりを見渡す。
目的の人を見つけ一直線に向かう。
ダンっと力強く机に両手をつき、驚くそいつを無視して、


「私も振られた。飲み行こ」

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category:  第4章酒と煙草は二十歳になってから

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